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リヤンド-絆-荻窪 職員インタビュー Interview

治療をしなくてもできること─地域連携看護師として見つけた、新しい看護のかたち

東京都杉並区・荻窪駅近隣に2024年9月にオープンしたリヤンド-絆-荻窪で働く地域連携看護師

リヤンド荻窪 地域連携看護師 松岡

新卒では小児専門病院へ就職し、約6年間PICUで勤務。その後、大学病院で2年間・総合病院の外来勤務を1年間経験し、2025年1月にリヤンド荻窪へ入職。現在は地域連携看護師として、施設の紹介や入居までの調整を担当。

▼目次
小児看護から成人看護へ
地域連携看護師への挑戦
地域連携看護師のお仕事
リヤンド荻窪だからできるケア
これからの目標

小児看護の難しさと“やりきれなさ”に向き合った日々

もともと子どもが好きで、小児科の看護師になりたいと思い、この道を選びました。就職先も小児専門の病院を希望し、その中でも「一番重症な子どもの力になりたい」と思ってPICU(小児集中治療室)を希望しました。

その時は小児看護の経験しかありませんでしたが、今だから分かったことは、小児と成人では本当にまったく違う世界だと痛感しました。薬の管理はとても細かく、ケアの内容も大きく異なります。そして何より、家族への関わり方が大きく違っていました。

将来のある子どもが命を落とすことは、ご家族にとって本当に受け入れがたい現実です。『どうして助けられなかったんだろう』『なぜうちの子が』という思いが強く残ります。医療者側も同じように『やりきれなさ』を抱える場面が多く、心身ともに本当にハードな環境でした。

もっと幅広く病態を知りたい─成人医療への挑戦

PICUで勤務する中で、『小児だから、成人だから』という区別ではなく、もっと幅広く病態を知っておかないといけないと感じる出来事がいくつかありました。

一つは、インフルエンザ脳症で急変した9歳の男の子です。元気に学校へ通っていた子が、ある日突然意識を失い、自発呼吸もできなくなってしまったんです。集中治療室で必死に対応しましたが、小児では考えられないような点滴量が必要な治療となり、自身の経験不足を痛感しました。

もう一つは、先天性心疾患を持つ方のケースです。子どもの頃から小児の病院で診ていたのですが、成人医療への移行がうまくいかず、最終的にまた小児病院で手術を受けることになりました。そのときはECMO(体外式膜型人工肺)を使用していて、私たちスタッフも小児でのECMO管理は経験していたのですが、成人となると管理の仕方がまったく違うということで、近隣の高度急性期病院から医師や看護師に応援に来てもらって対応しました。

こうした経験を通して、『小児に特化するだけでなく、もっと幅広く対応できる看護師になりたい』という思いが強くなり、成人医療の現場にも挑戦することを決めました。

東京都杉並区・荻窪駅近隣に2024年9月にオープンしたリヤンド-絆-荻窪エントランス

“点”から“面”へ─看護師としての新たな関わり方を探して

大学病院に転職して約2年間、成人看護を経験しました。小児病院時代から含めて、ずっと急性期医療に携わってきましたが、次第に退院後の生活や最期の時間をどう過ごすかという部分にも関心を持つようになっていきました。

その後、総合病院の外来に転職し、治療と生活を両立させている患者さんたちと出会いました。生活により近い現場で、「どのように家に戻っていくのか」を見ることができました。一方で、看護師と患者さんとの『一対一』での関わりには限界があると感じ、もっと違った立場で広い視点から関わることで、患者さんやご家族を支える方法はないかと考えるようになりました。

“点”ではなく“面”で関わりたい─そんな思いを抱き、臨床から一歩離れて看護師としての経験を活かせる場所を探しているときに出会ったのが、今のリヤンド荻窪での地域連携看護師という仕事でした。

東京都杉並区・荻窪駅近隣に2024年9月にオープンしたリヤンド-絆-荻窪で働く地域連携看護師

これまでの経験を活かし、地域をつなぐ看護師へ

地域連携看護師としての仕事は、大きく分けて入居に関する相談対応と外部への訪問活動の2つです。

施設内では、入居のご相談を受けてスムーズにご案内できるよう、病院やケアマネジャーさんなど関係機関と情報を共有しながら調整を行っています。外に出るときは病院や居宅支援事業所、地域包括支援センターなどを訪問し、『こういう施設がありますよ』と知っていただくことを大切にしています。

意識しているのは“覚えてもらうこと”です。定期的に顔を出し、関係性を築きながら『何かあれば松岡に相談しよう』と思ってもらえるよう心がけています。訪問先で施設の情報をお伝えすると、地域内で情報が共有されて『○○さんから聞いて連絡しました』とつながることも増えてきて、点と点が“面”になっていく実感があります。

リヤンドに転職した当初は、臨床を離れることで『これまでの経験はあまり活かせないかもしれない』と覚悟していました。でも実際に働いてみると、患者さんの病状や経過、ご家族様の反応など、これまでの経験があるからこそ予測できることが多く、大いに役立っていると感じています。施設の看護師や介護士にに情報を伝えるときも、具体的に共有できるので、これまでの経験は決して無駄ではなかったと実感しています。

その人が望む“最期の時間”を叶えるために

リヤンド荻窪に入職して約半年ですが、この仕事に大きなやりがいを感じています。

私は、ここでは『ただ生活する場所』ではなく、『その人が望む生活を叶える場所』にしたいという思いを大切にしています。生活が難しくなって施設を探される方が多いのですが、ただ入居するだけではなく、『最後までどう生きたいか』『どんなことをしたいか』に寄り添いたいという思いです。

印象に残っているのは、『お酒を飲みたい』と希望された方のことです。末期がんで、医師から『お酒は控えてください』と言われて以降、4年間きっちり断酒されていた方でした。でも最期の時間をどう過ごしたいかを伺うと、『お酒が好きだったんです』と話してくださいました。

病院では難しいことでも、リヤンドでは“楽しみ程度”であれば可能です。主治医にも相談し、施設内で少しだけお酒を楽しんでいただきました。グラスを口にしたときの穏やかな表情を見て、『あのとき、勇気を出して聞いてよかったな』と心から思いました。

東京都杉並区・荻窪駅近隣に2024年9月にオープンしたリヤンド-絆-荻窪で働く地域連携看護師

スタッフ全員で寄り添う、“その人らしい暮らし”

リヤンド荻窪に入職して一番感じたのは、スタッフ全員がご利用者様一人ひとりの“その人らしさ”をとても大切にしているということです。やりたいことを可能な限り実現できるよう、看護師も介護士も施設長も一緒になって寄り添っています。

たとえば、ALSでBiPAPを使用している方の入浴について、どうすれば安楽に入浴できるかをチームで検討し、1日のスケジュールを工夫して実現できたことがありました。医療的ケアの重い方が多いので、負担が大きいケースも少なくありません。それでも入居相談があれば、『いいよ、受けよう』と前向きに応えてくれるスタッフばかりで、本当に心強いです。

どうすればその人にとって一番良い環境がつくれるかを、皆で一緒に考えて動ける。このチームの姿勢は、これからも地域の医療・介護関係者の方々に伝えていきたいと思っています。

東京都杉並区・荻窪駅近隣に2024年9月にオープンしたリヤンド-絆-荻窪で働く地域連携看護師

治療をしなくても、できることはたくさんある

臨床で働いていた頃は、『その日の8時間をどう安全に過ごしてもらうか』という目の前の時間を支えることに集中していました。でも今は、『この人がどう生きたいか』『どこで過ごしたいか』『どう最期を迎えたいか』といった、もっと長い視点で物事を考えるようになりました。

一人の方を受け入れるまでに、どれだけ多くの人が関わり、どんな情報や行政手続きが必要になるのか。そうした全体の流れを見渡せるようになったのも、今の仕事に就いてから得られた大きな学びです。

リヤンドは積極的な治療を目的とした施設ではありませんが、『治療をしない=なにもできない』ではありません。むしろ『治療をしなくても、できることがたくさんあるんだ』と、ここで働く中で強く感じるようになりました。

東京都杉並区・荻窪駅近隣に2024年9月にオープンしたリヤンド-絆-荻窪で働く地域連携看護師

地域をつなぎ、これからを支える

地域連携看護師として働く中で、病院やご自宅から施設へ移るときの連携の質が、ご利用者様の安心や現場でのケアの質に直結することを強く実感しています。入居時には、現場の看護師さんや往診医と丁寧に情報を共有することで、スムーズなケアにつながります。

これからは現場だけでなく、経営的な視点も身につけて、職員間の意識共有や連携体制の改善にも取り組んでいきたいと考えています。

地域連携や終末期ケアは、一人ひとりの“その人らしさ”に寄り添い、人生に深く関われるとてもやりがいのある分野です。最初は不安もあるかもしれませんが、ここは『チームで支える』現場なので一人ではありません。興味があれば、ぜひ一緒に地域の医療を支えていけたら嬉しいです。

(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)


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