「ご入居者様のために」─職種を超えて想いでつながるリヤンド荻窪のチームケア

リヤンド荻窪 施設長 永井
特別養護老人ホームで6年、有料老人ホームでケアマネージャーを12年、その後管理職として有料老人ホームや老健で経験を重ね、2025年3月にリヤンド荻窪に入職。
▼目次
・介護業界を志したきっかけ
・リヤンド荻窪との出会い
・職員たちの印象
・リヤンド荻窪の役割
・人として成長できる場所
トラック運転手から介護職へ─何も知らなかった私の第一歩
26歳のとき、それまで続けていたトラック運転手の仕事から介護の世界に飛び込みました。仕事は淡々とこなせていたのですが、自分の中で『このままでいいのかな』という迷いがあったんです。そんなとき、まだ介護保険制度がない頃から特別養護老人ホームで“寮母さん”をしていた叔母から『介護の仕事はどう?』と声をかけてもらったことがきっかけでした。
とはいえ、当時は正直、介護について何も知らなかったんです。不安を感じる以前に、知識がゼロでしたね。介護福祉士という資格があると聞き、『まずは勉強してみよう』と思って専門学校に進学しました。ただ、資格取得のための勉強だけでは、現場の実態はあまり見えてきませんでした。そして、2年目の実習で特養に行ったときに、私は衝撃を受けました。日数はそれほど長くなかったのですが、初めて高齢者と接して、実際にお体を綺麗に拭いたり、排泄の介助をしたりする中で、『ああ、これが介護なんだ』と実感しました。
正直、怖かったです。汚いとかそういうことではなく、“人の命に触れる”ことの重さに圧倒されました。生身の人間に触れること自体が怖くて、『もし怪我をさせたらどうしよう』『間違えたらどうしよう』という気持ちが強かったですね。でも、あの経験があったからこそ、介護の本質に触れられたと思いますし、今の自分の原点にもなっています。
恐怖心から“やりがい”へ─特養で過ごした6年間の学び
介護職として働き始めてから、今に至るまで約24年。現場での介護からケアマネジャー、そして管理職まで経験してきましたが、振り返ってみると、やっぱり最初の6年間、特養で現場に立ち続けた時間が自分にとって一番大きかったと思います。あの時期に、介護の基本的な技術は一通り身につきました。入浴介助や排泄介助、食事介助など、最初は怖さもありましたが、それでも毎日の業務を積み重ねる中で、『やりがい』を感じるようになりました。
それは、よくある話ですが、ご利用者様からいただいた『ありがとう』という言葉でした。お客様と直接関わって、その方に笑顔で感謝される。その瞬間は、私にとって報酬以上の価値がありました。
『介護って、人の役に立てる、本当に価値のある仕事なんだ』─そう思えた瞬間でもありました。
“受け入れられない現実”への疑問─リヤンド荻窪との出会い
ケアマネジャーとして働くようになってからは、施設全体の運営や受け入れの実態がよく見えるようになりました。介護職をしていた頃は深く意識していなかったのですが、『この方は難しいですね』と受け入れをお断りするケースが、驚くほど多かったんです。
私がこれまで勤めてきたのは、有料老人ホームや老健が中心でした。そこでの“常識”は、医療依存度が高い方や難病を抱える方については、診断名を聞いただけで『もう無理です』と受け入れを断ること。顔を見ることもなく、選択肢を閉ざしてしまう…当時の私には、それが当たり前だと思っていました。
でも、次第に『本当にこれでいいのだろうか』という疑問が強くなっていきました。ご本人やご家族は、必死になって受け入れ先を探しているはずなのに、私たちは最初から“可能性”を切り捨ててしまっている。この現実を変えたいという気持ちが芽生え始めた頃、医療対応型ホーム【リヤンド−絆−】の存在を知りました。
『訪問看護を活用して、難病の方も受け入れている』と知ったときは、本当に驚きました。
『どうやって運営しているのだろう?』
『どんな体制でケアをしているのだろう?』
興味がどんどん膨らんでいきました。実際のオペレーションを自分の目で確かめたい。その想いが、リヤンド荻窪への転職を決意させた大きな理由です。
朗らかな職員と前向きなチーム─いい意味で裏切られた職場の印象
リヤンド荻窪に入職する前は、正直『少し暗い場所なのかもしれない』と覚悟していました。難病の方が多く、医療行為も多岐にわたるため、重たくて緊張感に満ちた職場なんじゃないかと。でも、実際にリヤンド荻窪で働いてみると、その想像はいい意味で裏切られました。
リヤンド荻窪には、医療依存度が高い“別表対象者”の方だけでなく、一般的な有料老人ホームに近いご利用者様も多くいらっしゃいます。そのバランスが、施設全体の空気を柔らかくしてくれています。さらに、難病の方だからといって、すべての方がコミュニケーション困難なわけではありません。会話ができる方も多く、『重苦しい施設』という印象はすぐになくなりました。
一番驚いたのは、職員の雰囲気です。看護師も介護職員も、みんな本当に明るくてポジティブ。日々、さまざまな課題や問題はありますが、それを重たく見せず、前向きに取り組む空気があるんです。
私の中では、医療依存度が高い現場ほど看護師さんはピリピリしていて、忙しさや責任感からどこか殺伐としているイメージを勝手に持っていました。でも、リヤンド荻窪は違いました。スタッフはプロフェッショナルな仕事をしながらも、朗らかで穏やか。そうした姿はとても印象的でしたね。
もちろん、緊急時には空気が一変します。でも、そこにもきちんと“メリハリ”があって、普段は利用者様に寄り添いながら、明るく前向きにケアをしてくれています。その姿を見ていると、私自身も安心できますし、実はこの空気に私自身が何度も救われてきました。
本来の “家族”に戻れる場所─リヤンド荻窪の役割
リヤンド荻窪には、『他の施設では断られたけれど、ようやくここに入れた』というご家族がたくさんいらっしゃいます。そうした方々とお会いするたびに、率直に“やりがい”を感じると同時に、『これまでどれだけの方に悲しい思いをさせてきたのだろう』と、改めて考えさせられます。
ご家族から『入れてもらえただけでありがたい』とおっしゃっていただけることも多いです。でも、そこで満足してしまってはいけないと思っています。
「他では断られたからここに来た」ではなく、「リヤンド荻窪を選んでよかった」と心から思っていただけるように。私たちはあくまで“普通にお客様としてお迎えする”という意識を持ち、丁寧で誠実なサービスを提供し続けることが大切だと考えています。
また、私たちが目指すのは、ご入居者様だけでなく、ご家族にも“気兼ねなく暮らせる日々”をお届けすることです。ご自宅で介護をしていると、特に親子関係の場合、関係性が崩れてしまう場面をたくさん見てきました。とても仲の良かった親子でも、介護が長期化したり、認知症の症状が出たりすると、だんだんと感情的にすれ違ってしまうんです。
でも、施設にご入居いただくことで、健康管理や生活面のケアは私たちが担います。そうすることで、ご家族は“介護者”ではなく“家族”としての立場に戻ることができます。
「介護しなければいけない」から解放され、「父として」「母として」「子として」、純粋な気持ちで向き合える関係に戻れる。そのお手伝いができるのは、施設ならではの大きな価値だと思っていますし、リヤンド荻窪の存在意義そのものだと感じています。
「ラーメンが食べたい」─スタッフの温かさが生んだ笑顔
既にご退去されてしまった、ALSを患うご利用者様のエピソードなのですが、『昔よく通っていたお店のラーメンが食べたい』と話されたことがありました。
その方は、もうほとんど経口摂取ができない状態だったのですが、その話を聞いた看護師は、『何とかできないか』と考えて、業務後にそのお店まで足を運び、事情を説明したうえでスープだけを分けてもらえないかお願いしたんです。お店も快く応じてくださり、スープを提供してくださいました。
スタッフは、そのスープにとろみをつけ、ご本人にほんの少しだけ飲んでいただけるよう準備しました。吸引器をそばに置き、複数の看護師が付き添う中での試みでした。むせたり、咳き込んだりもありましたが、それでもほんの少し口に含んだあと、その方が見せた表情は本当に穏やかで、笑顔でした。その笑顔を見た瞬間、『この笑顔を引き出せたスタッフたちは本当にすごいな』と心から思いました。
ご家族もとても喜んでくださいました。おそらく病院だったら、リスク管理の観点からスープを提供すること自体が許可されなかったかもしれません。でも、リヤンド荻窪では、スタッフ一人ひとりが“どうすれば安全に叶えられるか”を考え、チームで準備し、願いを実現することができるんです。
こうした“願いを叶えるケア”ができるのは、ここで働くスタッフの自発性と、医療と介護が連携するチーム力のおかげです。私はこの職場の仲間たちの温かさと、互いに支え合う力にとても誇りを感じています。
看取りを通して、人として成長できる場所
リヤンド荻窪では、がん末期の方をはじめ、ご逝去される方も多くいらっしゃいます。最期の時間と向き合うことは、現場にとっても決して簡単なことではありません。精神的な負担は大きいですし、正直なところ、それがどうしても耐えられないという方にとっては、ここでの勤務は難しいかもしれません。
ただ、私はこう思っています─“最期の時間に寄り添う”という経験は、たとえ短い期間であっても、ものすごく大きな学びになると。それは技術的なスキルを磨くという意味だけではありません。ご入居者様やご家族様との関わりを通して、人としての考え方や価値観が大きく変わりますし、ほかのご利用者様への接し方や、自分自身のあり方まで深く見つめ直せる機会になると思います。
もちろん、誰にでも向いているとは言いません。でも、そこにしっかりと向き合い、チームで支え合いながら寄り添うことができれば、その経験はきっとこの先の人生においても大きな糧になるはずです。
リヤンド荻窪では、スタッフ一人ではなく、医療と介護が一つのチームとなって“最期の時間”を支える体制があります。だからこそ、一人で抱え込まず、共に学び合い、共に寄り添うことができる環境だと思っています。
スタッフが「ここで働き続けたい」と思える場所を目指して
リヤンド荻窪には、本当に“良い人たち”が揃っていると日々感じています。介護職員も看護師も厨房スタッフも、職種を問わず、みんなが『ご入居者様のために』という想いを持って動いてくれています。その姿勢は本当に誇らしいものです。
ただ、その想いを“組織の力”としてしっかり結実させていくためには、まだまだ上を目指していかなければいけません。良い人材が揃っているだけでは、良い施設にはなりません。大切なのは、その力をひとつにまとめ、チームとして機能させることです。
施設長である私の役割は、まさにそこにあります。誰か一人に任せきりにするのではなく、互いに補い合い、支え合える関係性をつくっていくこと。そして、お互いの力を最大限に引き出せる環境を整えること。それができて初めて、ご入居者様にとって最良のケアが実現できると考えています。
また、ここで働く職員たちが、『ここで頑張ってきてよかった』と思えるような環境づくりも、私の大切な使命です。努力がしっかり報われて、この場所で働き続けたいと思える。そんな職場を目指して、これからも挑戦を続けていきたいと思っています。
(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)
看護師・介護職員・調理師など募集中!
ここには、明るく、前向きで、温かな仲間がいます。リヤンド荻窪で、“その人らしい人生を支えるケア”を、私たちと一緒に実現しませんか?